story01-07 of フタガミ家づくり STORY

—「いま建てんとどうする!」  両親のため住み慣れた地にー

 生まれ育った地に、自分の手で新しい家を造る。次の世代も、また次の世代もこの地で平穏に暮らし続けていけるように――
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 職員に手を貸してもらいながら、急斜面を下り、木の根元へと行く沼さん。高さ25㍍の木をすぐ真下から見上げ、「おお、すごい」と思わず感嘆の声を発している。見惚れる間もなく、すぐに斧が手渡され、上から見守るスタッフにも緊張が走る。息を整えた沼さんが、おそるおそる「えいや!」と斧を振り下ろすと、「ギギギ‥」とうなる木。だが、それくらいではびくともしない。沼さんのポロシャツの背中が汗びっしょりだ。
 と、ここで、チェーンソーを手にした職員がバトンタッチ。「さあ皆さん。どちらの方角に倒れるか分かりませんから、気をつけてくださいよ」と一声掛け、全身で機械を支えながら、すごい振動とともに木の幹に刃をめりこませていった。すると、50年間、この地ですくすくと育った木はあれよあれよという間に傾き始め、ズシーンッと地響きを立てて横倒しに。まるで、「さあやっと、これからが僕の人生(木生?)の始まりさ」と言わんばかりのいさぎよさで、後にはこの地で50年生きてきたことを証する大きな切り株が残った。緊張の一瞬を終え、「何とも言えん。不思議な感じ」と興奮さめやらぬ様子の沼さん。自分自身が最初に斧を入れ、目の前で倒れていくのを見守ったその木で造られた家に住む、その思いはどんなだろう。