story01-10 of フタガミ家づくり STORY

—「いま建てんとどうする!」  両親のため住み慣れた地にー

 生まれ育った地に、自分の手で新しい家を造る。次の世代も、また次の世代もこの地で平穏に暮らし続けていけるように――
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 ネクタイを締めて緊張気味の沼さんの横で、まるで自宅にいるかのようにくつろいだ表情でビールをあおるのは、同じ稲生生まれ稲生育ちの仲良し3人組だ。稲生を離れていたのは大学時代だけという人もいれば、最近まで仕事で県外で暮らしていた人もいるが、気が付けば、ここ稲生に帰っていたそう。子どもの保育園でばったり顔を合わせたのがきっかけで、「ありゃ、おまんいつ帰っちょった?!」と友の帰郷を知り、すぐに旧交がよみがえった。以来、唯一独身の沼さんも交えて、半年に一度は順繰りにみんなの家に集まり、昔話に笑い転げては飲み明かす仲。「僕らあが子どものころは、みんな、めちゃめちゃ悪いことしよった。近所の家の桃を取って怒られたり。おじい、おばあに追い掛けられてなんぼ。スリルがあって面白かった」と、一番の悪ガキだったと思われる松本祐一さん(42)が豪快に笑う。
 「いやあ、今日はめでたい。これからは毎回、ここで飲もう」。大盛り上がりの“悪友”たちを横目に、「呼ぶメンバーを間違えたかなあ」と沼さん。松本さんらによると、沼さんは同級生の中でも比較的真面目でおとなしい少年だったようで、「両親のために家を建てたのはさすが。けんど、なんとか早う嫁さんを、いい人を見つけてほしい。それだけが願い」と酔った友たち。しつこくはやしたてられても、「はいはい」とポーカーフェイスで酒をつぐシャイな横顔に、沼さんの温かい人柄がにじみ出ている。家族思い、友達思いにかけては同級生の中でもピカイチ。「ほんとに誰かえい人おらんろうか」と周囲の“おせっかい”は強まるばかりだ。