story02-03 of フタガミ家づくり STORY

-中卒で大工の住み込み修行 木を知り尽くした大きな手-
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 話を15歳の福原少年に戻そう。親方、というと一般に怖いイメージがあるが、「ひとっちゃあ怒られざった」そう。忘れられないのは、初めて、親方が、仕上がったばかりの純日本建築の家を見せに連れて行ってくれた時のこと。「こりゃあ綺麗な。これが日本の家か。こんな家を自分も建てれるろうか。いやあ建ててみたい、とすごい思うたねえ」と目を輝かせて振り返る。
 親方はほとんど現場には姿を現さなかった。「最後の仕上げに和室の床の間をやりにくるばあやった」そうだ。そのため、現場では兄弟子のやることを、鉋(かんな)のかけ方から、見よう見まねで盗み、覚えた。「あれを持ってこい」と言われれば、どんな重い物でもすぐに1人で抱えて運び、「それをそのまま、手元で押さえちょってくれ」と言われれば、吹き出る汗をぬぐうこともせず、押さえ続けた。そうやって一つずつ職人の技を自分のものにしていった。
 朝は7時半には現場へ行き、晩は6時半ごろまで仕事。その後、週に2、3回は夜間の職業訓練校へ通って、嫌いな勉強も頑張った。「とにかく忙しかったねえ。休みという休みはなかった」。
 5年間の修業期間を通して、「とにかく、要領よく仕事をすること」を体に叩き込まれた。大工、福原春一の原点となる宝物のような経験だ。
 「家をつくるのがほんまに好き。お施主さんは喜んでくれるし、本当にやりがいがあるやか」
 気付けば、心の底から、そう思うようになっていた。
 中卒で大工に弟子入りしたあの日からもう42年。福原さんが「今はもうそんな子はおらんやないろうかねえ」と、ふっと寂しそうな顔を見せた。確かにそうだろう。時代は変わった。福原さんのような、今では数少ない“本物”の大工が手掛けるフタガミの家は今や貴重な存在だ。