story04-04 of フタガミ家づくり STORY

命懸けで「年季奉公」の時代 先達の技盗み、腕磨く
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 本当に、よく見ると、一枚一枚、色も凹凸の具合も違う。第一、まっすぐじゃない。微妙に線が歪んでいる。昭和三十年ごろにこんなに細かい細工を施したタイルがあったとは、考えると驚きだ。
 そこで、建物全体を再度眺めてみると、正面の各階に横一直線に据え付けられた白いバルコニーもなかなかに趣きがある。
 「そうでしょう。他県の庁舎と比べてもハイカラな建物で『ありゃ、ホテルができゆうがかえ』」という声もよう聞きましたからねえ。」
 そうだったのか‥。今更ながらに県庁の、“建造物”としての価値に気付かされた。よくぞ、取り壊しや改築をせず、耐震工事を行ってくれたものだ。高知県民の、いや“高知家”の一人として、単に庁舎としてでなく、貴重な歴史的建造物としてこの県庁をこれからも大切に守っていかなくてはならない、と、この“現場取材”を通じて初めて考えさせられた。
 当時はもちろん、今のように工事が効率良くスピーディーに進んだわけではなく、西岡さんたちは、菜園場にあった親方の家から、毎日、重いタイルを積んで自転車で現場に通った。「あのころはまだ、われわれの仕事仲間で車を持っちゅうもんはおらんかったきねえ。“車力(しゃりき)“はあったけんど。」と遠い日を懐かしむ。
 タイル職人は現場でセメントと砂を三対一の割合で配合し、それをタイルに均等に塗る。セメントを塗ったタイルはずしりと重い。それを片手でそろりと持ちあげては両手で丁寧に貼付けていく作業。今のような鉄骨の足場ではなく、木組みの足場に上り、少しずつ少しずつ、上へ上へと積み上げていった。